卒業生だより 1

名前深山翔平
出身高等学校福岡県立明善高等学校
卒業大学広島大学教育学部


「感想・抱負」
 経済的に余裕がなかったので、奨学金を借りることで、大学に行けたようなものだと思っています。
大学では、教員になる勉強をするとともに、たくさんの友達と交流し、たくさんの良い思い出を作ることが出来ました。
 今年から、教員として働いていますが、大学で学んだことが活かせる場面が多々あります。
今後は、教員生活になれて、子どもたちの、学びと遊びの完全サポートができるように努めていきたいと思っています。

卒業生だより 2

名前吉開朋弘(よしかいともひろ)
出身高等学校福岡県立明善高等学校
進学大学京都大学地球工学部



<奨学生として卒業して>
不況により、親の収入激減。家計の援護に奨学金は非常に有り難く思いました。

<今後の抱負>
工学部大学院に進み、地球環境変化・異常気象・水害などの研究にあたります。

卒業生だより 3

名前永江雅和
卒業大学一橋大学経済学部
現在専修大学経済学部教授
貸与期間平成元年〜平成4年

有馬育英会奨学金で続けられた合気道

  世の中が昭和から平成にうつった頃、福岡県から上京したばかりで、右も左もわからなかった私は、地下鉄東西線の茅場町駅を降り、近代的オフィス街のなかを不安げに歩いていました。オフィス街を抜け、人形町に入ると突然街の風景が一変し、水天宮の参道を中心とした下町の風景が現出しました。その風景の変化と人形焼の甘い香りに、ほっと安心感を覚えた、18歳であった私が「東京の都心にもこのような、温かみのある空間があるんだな…」と、ぼんやりと考えたのはもう20年ほど前のことであったかと、今懐かしく回想しています。

 大学進学が決まったものの経済面に不安のあった私は、担任の先生に、奨学金を紹介してもらえないだろうかと相談に赴きました。そこで紹介して頂いた貴会に平成元年度から四年度にかけて奨学生として支援を受けることができましたのが貴会とのご縁になります。当時の私は「有馬育英会」といいましても、久留米藩の殿様であった有馬家と結びつけもせず、また人形町にある水天宮と有馬家の由来についても思いも及ばない、なんとも無礼でモノを考えない学生でした。汗顔の至りです。

  大学時代の私は勉学そっちのけで、合気道に打ち込みました。高校時代に在籍した剣道部を、怪我で中途半端な形で引退してしまったことへの後悔、武道による心身の鍛錬への未練があったのだと思います。こうして体育会合気道部に入部したのですが、夏や春の合宿では、かなりの費用が必要であり、週5日の稽古のなかで満足にアルバイトをすることもできず、経済的に部を続けてゆくことに苦労を感じることもありました。しかし育英会奨学金を受けられましたおかげで、なんとか無事4年生まで続けることができ、最終的に二段を頂くことができました。

  また部でご指導頂いた有川定輝師範(九段、故人)に接することができたことも、私には大きな経験であったと思います。週に一度、古武士のような風格を湛えた師範と稽古後、お話をするのですが、師範に失礼のないように準備万端整えること、またお話の話題を考えるために、毎週かなりの時間をかけて準備した記憶があります。こうした経験は目上の方に一期一会の精神で接する気構えを学ぶ、貴重な経験になったと思っています。

  大学卒業後、私は指導教官の薦めで大学院に進学し、研究者の道を目指すことになりました。私の専攻する日本経済史は、フィールドワークや聞き取り調査を多用する学問であり、指導教官はもとより、調査の過程で多くの方々のお話をうかがうことがあります。また勤務先の大学ではゼミで数十名、講義では数百名の学生と日常的に接します。どちらにも共通するのは、多くの人と接する仕事であるということ。人見知りや引っ込み思案では、なかなかつとまりません。研究の過程でご縁を得た方や、日常接する学生とも、一期一会の気構えをもって、誠実に接することを心がけようと、精進する毎日です。未熟を痛感することしばしばですが、それでも学生時代に貴会の奨学金を得て、続けられた合気道修行の経験が、私の人と接する姿勢の上で、「柱」になっていることを痛感しております。

  思えば私の学生時代に比べ、大学生を巡る環境は日々悪化の途をたどっているように思えてなりません。100年に1度の不況と呼ばれる昨今、就職難のなかで、学生もアルバイトに追われ、あるいは近視眼的な就職活動に追われ、教養・知性・心身を鍛錬する時間と環境が日々失われつつあることを肌で感じます。国内はもちろん、海を隔てたアメリカでも大不況のなかで奨学金制度の崩壊による学生の困窮が進みつつあると伝わってきます。またご家族の経済状況・健康状況の悪化により、進学を中途にて断念せざるを得ない学生も、その数を増しているように見受けられます。そうしたなかで、貴会がこれからの日本を支える学生生活の支援に長期間にわたる支援を続けられていることには、深い敬意を覚えますとともに、その社会的貢献が疑いなきものであると、確信を抱いております。
  貴会の活動の今後のますますのご発展と、奨学生の皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。 現在でも大学合気道部の合宿に参加して、汗を流しています。

(前列左端が筆者)